自由への疾走。
坊主に角生えてたらアカンのか?
何やねん「まんとくん」て。
ゆるいキャラクターでないとアカンのか?
(「せんとくん」の気持ちを代弁してみました)
雨中の戦いに敗れたホウセンズ。
反省会と称した呑み会は、深夜まで続きました。
そして3軒目の居酒屋に辿りついたとき、
メガネさんがとんでもない事を口走ってしまいました。
『ねぇ、ツネくん。明日、皇居を走らないかい?』
『本気ですか? いいですね!』
すでに酩酊状態のメガネさん。
この時の会話をまったく覚えてないのですが、
いつの間にか後には引けない状況にまで発展していました。
そして翌日・・・
夏の到来を思わせる、快晴の日曜日。
皇居を周回するランナーの聖地・ランナーズステ-ションに集まった駅伝部の面々。
ここに荷物を預けて、着替えをすませます。
ちなみに、佐賀のがばいカワクボ氏は三線の集会に出席のため、今回は不参加でした。
入念に準備運動をした後、いよいよスタートです。
せっかく作ったチームTシャツを着てるのが一人だけという虚無感を抱えながら、
皇居を一周します。
一周約5kmもの距離を走るのなんて、20年ぶりのメガネさん。
日頃、運動などとは無縁のひ弱な35歳にとって、
無謀な挑戦といっても過言ではないでしょう。
しかも一番日差しが強い14時という時間帯。
これでもかというくらい過酷な条件がメガネを襲います。
初心者のメガネさんに歩調を合わせて、みんなゆっくりと走ってくれてますが、
この人にとっては、全力で走らないと付いていけません。
つか、もう離されてしまいました。
青い空と新緑の葉が、キレイなフォルムを写しだし、
モダンな洋館や立派な官庁が優雅にそびえ建つ風景は、まさに絶景なのですが、
もちろん、それを見ながら走る余裕などある筈もなく、
ただただ、目の前のアスファルトを一歩一歩踏みしめるだけです。
たまに木陰に入ると暑さがしのげて気持ちがいいのですが、
日向に出ると一転、猛烈な暑さがジリジリと肌を焦がします。
少し足が痛くなってきました。
千鳥が淵の交差点を左に折れ、霞ヶ関方面に向かいます。
桜の季節には何度も訪れた名所ですが、まさかここを走る羽目になるとは・・・。
右手に英国大使館が見えました。
今日も英国紳士が紅茶を飲みながら、天気の話をしてるのでしょう。
故郷の炭鉱の閉鎖を憂いながら・・・。
前方にTOKYO-FMが見えてきました。
今頃、松任谷由実の「Sweet Discovery」をオンエアしてるのでしょう。
もちろん事前録音ですが・・・。
今日も国家の犬が僕らの税金で無駄な警備をしています。
先日も一時停止違反で7000円払ったので、あなたたちの給料に使われるのですね。
つか、金払うんだから、点数取らなくてもいいじゃん・・・。
それにしても、広大な土地です。
これを潰してマンションを建てれば、もっと大勢の人が住めるのに。
やっぱり疲れてくると、ネガティブな考えしか思い浮かびません。
あれ? 疲れてなくてもネガティブだったような。
ようやく半分が過ぎたのでしょうか。
まだ半分も残ってるのでしょうか。
この辛さはいつまで続くのでしょうか。
前を走る人たちからは、すごく余裕を感じられるのですが、
メガネさんはもう一杯、一杯です。
傍から見ると、メガネさんの走る格好って、
かなり変だと思いませんか?
上はヨメのおさがりのTシャツなので、かなり小さめです。
下はホウセンズ(仮)のパンツなので、負のオーラが漂ってます。
靴は普通のパトリックス・コックスの街履きなので、すごく走りにくいです。
おまけに白くて細い貧弱な足が、悲壮感さえ覚えさせます。
どうにか桜田門まで来ました。
埼玉に生まれて35年、東京に住んで11年。
初めて皇居内に入ります。
おじゃましてよかデスか?
立派な門構えに心躍らせ、江戸城の渡り廊下を想像します。
殿! いざ参ります!!
喜び勇んで門をくぐると、眼前には舗装された道が広がってました。
あたり一面何もありません。
あるのは松の木が無数にあるだけ。
期待が外れた悲しみの皇居で、メガネのメカニズムが急降下。
せつない衝動をもう止められません。
目標とする物や建物が無いと、一気に疲れが倍増します。
すごく肺が苦しいです。
なんだか頭も痛くなってきました。
もう止めちゃおうかなぁ。
『あと少しだから頑張れ!』
『あたしたちが付いてるわ♪』
チームメイトの熱い励ましに、もう少しだけ頑張ってみようと思いました。
日頃、滅多に温かい言葉をかけられないメガネさん。
あー、本当にうれしいのね。
良かったね。
常に自分なりのグルーブ感で乗り切るメガネさん。
もっとホメてちょうだいとばかりに、心のギアを入れ替えます。
飛行機雲が空を泳いでます。
それに追いつけるように、足を前に出すことにしました。
平日とは違い、車も人もいない東京駅に繋がる道です。
クラクションも、エンジン音も聞こえません。
耳に入るのは、激しい呼吸と地面を蹴るスニーカーの音のみ。
アスファルトにのびる影がすごく濃いです。
まさに炎天下。
体感温度は30℃を超えています。
もう少し。
もう少しだから。
そう言い聞かせて4.5km走ってきました。
時折吹くビル風が、今日に限ってはすごくありがたいです。
そんな小さなことさえも、感謝できるようになりました。
そしてついに・・・
35歳。
最近よく「太った?」と聞かれます。
気がつくと色んなところにアザが出来てます。
靴下を脱いだ後に残る跡が、なかなか消えません。
ビリーは3日で脱退しました。
そんなメガネさんが、20年ぶりに5kmを走りきりました。
大した距離じゃないことは知ってます。
かなりのスローペースだったことも承知の上です。
でも、こんなに脆弱なメガネが最後まで走りとげられたのは、
一緒に走ったチームメイトの協力があったおかげだと確信しています。
疲れたけど楽しかったねぇ。
夏に向けて不埒な肉体を鍛え上げたいですね。
と、調子にのって「ステキなボディにチェンジング!」宣言をしてしまったメガネさんですが、
ひ弱な肉体にムチを入れすぎたのが祟ったのか、
『メガネさん、顔が老けてしまってますよ!』
夏までに餅のような肉体から脱皮できるのか。
メガネさんの成長を見守りたいと思います。
by wakachannel471225 | 2008-06-03 21:03 | RUN